研究課題
フィリピン海はマリアナトラフ、四国・パレスベラ海盆、西フィリピン海盆などの背弧海盆と島弧(古島弧を含む)・海溝系の複合地質体であり、背弧拡大系のテクトニクスと進化を研究する上で重要な海域である。特に、パレスベラ海盆北部(北緯15-24度)については、低角デタッチメント断層の下盤ブロックである海洋コアコンプレックス(OCC;代表例はゴジラムリオン等)が多く分布しており、マントルに至る海洋底地質断面の解明に有利な海域である。本年度は海洋研究開発機構の深海潜水調査支援母船「よこすか」および潜水調査船「しんかい6500」により、上記海域との比較のため南部マリアナ海溝陸側斜面で調査を実施(YK10-12航海;航海期間は2010年9月17日-10月01日)した。母船での精密地形調査と潜水艇での海底地質観察により、南部マリアナ海溝陸側斜面急崖の大露頭(東西約500km、高度差約6km)の岩相マッピングを行い、急崖形成の作業仮説モデル構築を目指した。8回の潜航調査で岩相・微地形・断層地形・断層の分布等の目視観察を行い、マッピング後試料採集を行った。その際近接した斜面の深所(水深6500-5000m:構成岩石は主にマントルカンラン岩-ガブロ)と浅所(水深5000-4000m:同じくガブロ-火山岩)のペアで潜航し、一つの斜面の比較的長大な側線に沿う海洋底地質断面の観察を試み,パレスベラ海盆の断面との比較を行った。採集された海洋底地質断面構成岩石のマントルカンラン岩・ガブロ・火山岩の全岩化学組成、構成鉱物組成分析から、構成岩石の岩石学的・地球科学的特色を明らかにした。更にガブロからは温度・圧力履歴、U-Pbジルコン年代、また玄武岩からはAr-Ar年代を求めつつある。変型の著しい岩石(マイロナイト・カタクレーサイト等の断層岩)の、構造岩石学的解析から構造発達史研究も進行中である。
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