研究課題
フィリピン海はマリアナトラフ、四国・パレスベラ海盆、西フィリピン海盆などの背弧海盆と島弧(古島弧を含む)・海溝系の複合地質体であり、背弧拡大系のテクトニクスと進化を研究する上で重要な海域である。特に、パレスベラ海盆北部(北緯15-24度)については、低角デタッチメント断層の下盤ブロックである海洋コアコンプレックス(OCC;代表例はゴジラムリオン等)が多く分布しており、マントルに至る海洋底地質断面の解明にも有利な海域である。本年度は海洋研究開発機構の深海潜水調査支援母船「よこすか」および潜水調査船「しんかい6500」により、ゴジラムリオン北部のTermination近傍で集中的に調査を実施(YK11-08航海;航海期間は2011年12月5日-10月25日)した。母船での精密地形調査と潜水艇での海底地質観察により、岩相マッピングを行い、OCC形成の作業仮説モデル構築を目指した。7回の潜航調査で岩相・微地形・断層地形・断層の分布等の目視観察を行い、マッピング後試料採集を行った。更にフィリピン海海底地質の共同研究者である米国グループにより計画されたR/Vトーマス・トンプソンTN273研究航海(航海期間は2011年12月22日-2012年1月22日、32日間)に参加した。上記海域との海底地質比較のため南部マリアナ海溝陸側斜面の地形・地質・岩石の精密調査を行った。YK11-08航海で採集された海洋底地質断面構成岩石のマントルカンラン岩・ガブロ・火山岩の全岩化学組成、構成鉱物組成分析から、構成岩石の岩石学的・地球科学的特色を明らかにした。更にガブロからは温度・圧力履歴、U-Pbジルコン年代、また玄武岩からはAr-Ar年代を求めつつある。変型の著しい岩石(マイロナイト・カタクレーサイト等の断層岩)の、構造岩石学的解析から構造発達史研究も進行中である。
すべて 2012 2011
すべて 雑誌論文 (12件) (うち査読あり 10件) 学会発表 (25件)
Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America
巻: 109 ページ: 2831-2835
Natural Products An Indian Journal
巻: (in press)
深田地質研究所年報
巻: 12 ページ: 1-16
Geology
巻: 39 ページ: 47-50
doi:10.1130/G31322.1
Contributions to Mineralogy and Petrology
巻: 163 ページ: 483-504
Accretionary prisms and convergent margin tectonics in the Northwest Pacific Basin, Modern Approaches in Solid Earth Sciences, 8(In Y.Ogawa et al.(eds))(Springer)
巻: 8 ページ: 129-147
JAMSTEC Report of Research and Development
巻: 13 ページ: 89-105
巻: 8
doi:10.1007/978-90-481-8885-7_7
Journal of Geophysical Research
巻: 116,B07103
doi:10.1029/2010JB007931
Geochemistry, Geophysics, Geosystems
巻: 12,Q05005
doi:10.1029/2010GC003440
Lithos
巻: 124 ページ: 185-199
Island Arc
巻: 20 ページ: 174-187