研究概要 |
本研究は,北西太平洋に分布する白亜紀の地層群を対象として,微化石と有機物の炭素同位体比を用いてアプチアンからマストリヒチアンまで(125~65.5Ma)の統合標準尺度を樹立し,北西太平洋地域の地層において精度の高い国際的な年代対比を行うことを目的としている. 本年度は,北海道北西部の苫前地域(古丹別川)に露出する蝦夷層群中部において,アルビアン~セノマニアン(113~93.5Ma)の区間の泥岩および砂岩試料,北海道北部の中頓別地域(シュウマロネップ川~宇津内川)に露出する蝦夷層群上部および北海道東部(川流布川)に露出する根室層群下部においてカンパニアン~マストリヒチアン(82~65.5Ma)の区間の砂岩および泥岩試料を合計700試料採集した. これらのサンプルから微化石および植物化石の抽出を,過酸化水素水およびテトラフェニルホウ酸ナトリウムを用いて行った.微化石に関しては,蝦夷層群からは浮遊性有孔虫化石,根室層群からは浮遊性有孔虫化石に加えて,渦鞭毛藻化石の抽出を行い,年代指標種の同定や群集解析を行った.また,抽出した植物化石に関しては,岡山大学において安定炭素同位体比の測定を行い,浮遊性有孔虫や渦鞭毛藻化石層序と統合した統合層序を作成した.今回作成した北西太平洋地域の白亜系の統合層序を欧米地域に分布する白亜系模式地域における統合層序と比較した結果,高い精度で年代対比が可能であることが明らかとなった.
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