研究概要 |
北海道の蝦夷層群における浮遊性有孔虫化石および炭素同位体比の統合層序については,今年度前半にほぼ終了し,北西太平洋の白亜系における詳細な年代対比モデルができた.この年代対比モデルの精度をさらに上げるために,本年度は,羽幌地域,古丹別地域,朱鞠内地域,大夕張地域の蝦夷層群の試料から,保存の良好な有孔虫殻や魚の歯化石を抽出し,そのストロンチウム同位体比を名古屋大学理学部設置のTIMSを用いて測定した.また,合計10層準の凝灰岩からジルコンや斜長石・サニディンを抽出し,ジルコンについてはフランスのブレーズパスカル大学のパケット教授とともにレーザーアブレーションICP-MSを用いたU-Pb放射年代,斜長石とサニディンについてはフランスのパリ第三大学のクイデル教授とともに,Ar/Ar放射年代の測定を行った.その結果,白亜系堆積物の微化石・炭素・ストロンチウム同位体比による数多くの相対的な年代基準面に対して,放射年代値を与えることができ,白亜紀の国際年代基準の樹立に大きな貢献をすることができた.
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