研究概要 |
平成21年度に行ったカナダ・ニュー・ファンドランドのFortuneセクションのデータから、カンブリア紀最初期の生痕化石相の多様化は段階的に生じていることが示唆された。同様なパターンが別地域でも普遍的に見られるのかどうかを把握するため、平成22年度は中国貴州省の西部各地のカンブリア紀初期の地層を調査し、主に生痕化石の産出状況に関するデータ収集を行った。特に凱里付近のJialao Formation, Balang Formation, Mingxingshi Formationからの生痕化石を観察し、また一部の採集を行った。 一般に貴州省西部の地域では北西から南東に向かって当時の海底が深くなる傾向があり、それに応じて生痕化石の産出量や種類構成に違いが見られる。また従来少ないと思われていた微生物岩(Microbialite)が一部のセクション(Niutitang Formation)に見られることが明らかになった。今後さらに北西の雲南省での調査を行い、浅海相の生痕化石と比較することによりさらに水深の違いと、生痕化石の多様化に関するデータが収集できるものと期待される。 さらに前年に行ったカナダ・ニューファンドランドのFortuneセクションの生痕化石の変遷について考察を行い、学会で発表し、さらに論文を作成・投稿した。
|