研究概要 |
本年度は当初の研究計画に従い,野外調査と得られた試料の処理を行った.まずウクライナ,ドネツ炭田地域では,初年度に調査を行ったセクションの試料処理を進め,Bashkirian-Moscovian境界の検討で重要なMalonikoraevkaセクションのコノドント・有孔虫生層序を明らかにした.これにより,当該地域では石灰岩K1がほぼMoscovian基底に相当することが両化石分類群から示された.野外調査においては新たにBashkirian-Moscovian境界層準が露出するKhanzhenkovskセクションを検討した.南部中国では,貴州南部の納水,羅悃,宗地,店子上セクションで調査を実施した.このうちプラットフォーム浅海相の宗地セクションでは,主にMoscovian基底を定義する可能性のあるVerella-Eofusulina系統の産出層準を精査したが,境界層準近傍に複数の陸上露出があることを認めた.今後,これらの陸上露出面の意義を詳しく検討する必要がある また6月には,チェコ共和国プラハで開催された国際層序委員会ワークショップに参加し,GSSPコンセプトについての討議を行った.11月には,中国科学院南京地質古生物研究所においてGSSP策定に関する石炭系層序委員会ワークショップを共同開催した.ここでは,境界マーカーの候補となる化石分類群について,モスクワ盆地,ウラル,ドネツ炭田,中央アジア,南部中国などからの標本を実地に検分し,関連研究者と境界策定に向けた意見交換を行った.また,出席した各タスクグループメンバーが研究の進捗状況を発表するシンポジウムを行った.その後,南部中国でも上部石炭系境界模式地候補にあげられる貴州省で巡検を行った.なお,南部中国における上部石炭系層序境界に関連した個々のセクションの予察的な研究成果は,ワークショップ巡検の際のガイドブックに示されている
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