研究概要 |
節足動物の進化を探る上でクモ類はひじょうに重要な動物群の一つである。中生代ブラジルのサンタナ層から産出する未研究の化石および現生のクモ類標本を比較形態学的、進化学的に研究し、クモ類の進化の諸相を明らかにすることが本研究の主な目的である。平成25年度においては、以上の目的に沿って、以下のように研究を進めた。 1.化石および比較標本の形態学的、分類学的研究の継続(代表者およびアルバイト):すでに経過した年度同様、国立科学博物館が所蔵するサンタナ層のクモ類化石2点に関して形態・分類学的な下作業を実施した。研磨、撮影、描画、測定、解剖など多岐にわたる作業のうち、高度な技術を要するものは代表者が、また比較的単純な作業はアルバイトが行った。それに係る研究環境は同館が現有する施設(人件費を含む)で賄い、物品費として89,530円を要した。 2.国内における参考資料の調査(代表者):11~12月、追手門学院大学において加村隆英教授ら国内の研究者と議論を進めた。 3.学会発表および海外の研究者との打ち合わせ(代表者・研究協力者):6月、台湾で開催された第19回国際クモ学会議に出席し(旅費別途)、アジアのクモ類の分類学的研究について基調講演を行うとともに、Xuらとともにハラフシグモ類の系統に関する口頭発表を行った。2月に渡独し、ドイツ・フンボルト大学付属博物館のJ. A. Dunlop博士およびゼンケンベルク博物館のP. Jaeger博士と研究打ち合わせを行った。この海外出張のために旅費(349,310円)を使用した。また米国カンザス大学のP. A. Selden教授らとメール通信で本研究で得られたデータについて議論を行った。Dunlop博士と共著でArachnologische Mitteilungen誌上にハラフシグモ類に関する論文を公表した(印刷中)。
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