研究概要 |
22年度は,研究の進捗を図るために関係するメンバーがそれぞれ新潟,筑波,青森,北海道などの遺跡の調査を行ったほか,国内で調査が実施されている関係する遺跡の見学を行なうなどし,日本列島におけるヒト出現期のデータや情報の収集に努力した.また,後期更新世における脊椎動物の絶滅時期における成果の一部は,フランスで開催された国際会議"The Vth International Conference on mammoths and their relatives"にて発表を行った.同様な成果は,Quaternary International誌への投稿,あるいは東京大学常呂実習施設研究報告などで公表した. 10月には関係者一同で,昨年度より本研究において重要な地点として注目している静岡県三島市,沼津市周辺の遺跡を巡り,課題の確認と環境解析のためのボーリング調査地点の選定を行った.その結果,沼津市の興国寺城遺跡の調査地点に水成層が堆積している可能性があり,ヒト出現期の環境解析にとって有力であることが判明したことから,この地点において23年度にボーリングを試みることとなった.2011年3月には,地元沼津市教育委員会と打合せを行い,23年7月にボーリング調査を行う許可を得た. さらに,今年度は,以上のような具体的な調査と並行して,ヒト,動物,植物の過去5万年間の日本列島における変遷について,それぞれの分野の研究者がそれらを重ね合わせる図を作製することを試みた.その成果は,23年6月に行う予定の科研関係者の集会にて発表を行い,23年度のまとめ作業へと展開していく予定である.
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