研究概要 |
本年度は岩石中のホウ素(B)の定量と分離、および同位体比の分析に関わる実験を行った。 1) Bの分離に関する実験:同位体分析のためには,Bをサンプルから高純度で分離する必要がある。本研究では,従来の研究に比べて,より簡便な分離方法の検討を行った。あわせて、極微量のホウ素を扱うのに必要な分析実験雰囲気(フィルター類など)や使用試薬からのBのブランクを軽減するための工夫を行った。サンプルを酸分解後、通常のイオン交換カラム分離を行わずに、マイクロ昇華法を用いて他元素からBを高純度で分離することができた。回収率も95%以上である。 2) ケイ酸塩標準岩石について、ICP-MSを用いてBおよびHFS元素(Nb,Ta,Zr,Hf)の定量分析を行い、推奨値や参考値と概ね5%以下の精度で一致する結果が得られ、定量に関しては分析手法を確立できた。 3) 微量Bの同位体比分析:当研究室に設置されている表面電離型質量分析計(TIMS)を使用して,Bの同位体比を測定する技術を検討した。同位体比をBO_2^-として測定するNegative-TIMS法(N-TIMS)を適用した。 ホウ素を除去した海水をイオン化促進剤として使用し5ngのホウ素の同位体比を±1‰の精度で測定することに成功した。
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