研究課題
ポストペロブスカイト型CaRuO_3とCaRhO_3の高圧合成を行った。得られたポストペロブスカイト型CaRuO_3, CaRhO_3およびCaIrO_3について1気圧下でラマンスペクトル測定を行い、ポストペロブスカイト型結晶構造を持つ物質の格子振動解析に必要なデータを取得することができた。これまでに、CaIrO_3のラマンスペクトルの報告例はあったが、それ以外のポストペロブスカイト型化合物のラマンスペクトルと比較検討することにより、ポストペロブスカイト型MgSiO_3のより良い理解に繋がることが期待される。さらに、高圧下でのラマンスペクトル測定を可能にするために、ダイアモンドアンビル高圧発生装置の導入を行った。ガスケットについては、特別なレーザー加工装置などが無いために、比較的加工のし易いステンレスSUS304を用いることとした。同様に、圧媒体については、希ガス充填装置などの必要がなく、かつ静水圧性の高いメタノール:エタノール=4:1混合溶液を用いることとした。発生圧力はルビー蛍光法により見積もる。このダイアモンドアンビルによる加圧方法により約25GPaまでのラマンスペクトル測定が可能となった。理論的に定圧熱容量を推定する場合には、調和振動の仮定から理論的に計算される定積熱容量に、非調和振動の効果を加えて定圧熱容量を求める。このとき、グリューナイゼン定数という値を知ることができれば、非調和振動の効果を見積もることが可能となる。本研究の一つの大きな目的は、ラマンシグナルの圧力依存性からグリューナイゼン定数を決定し、熱量測定困難な物質の定圧熱容量を推定する際の制約条件とすることである。その目的を達成するための高圧ラマンスペクトル測定環境が整えられた。
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