研究概要 |
開発したカメラ半径955mmの高分解能シンクロトロン放射光用ガンドルフィカメラの性能評価および実際の応用目的のためにX線回折実験を行った。試料は、NIST-CeO_2標準、天然鉱物結晶の混合体粉末(多相試料)、標準岩石粉末などを約50~200μmφの大きさに樹脂にて固化させガラス棒の先端に接着したもの、また地球外物質微粒子をそのままカーボンファイバーの先端に接着した試料などを使用した。回折データのS/N比を向上させるためにシンクロトロンビームラインの最適化等を実施し、サイズ30μmφ程度の試料からも十分なS/N比の粉末回折強度データを取得することができた。また、本カメラの分解能はΔd/d=0.1%程度であるので多相試料の指数分離-指数付けも良好に実施できている。 本ガンドルフィカメラの結晶構造解析の性能を検証するためNIST-CeO_2粉末試料より粉末回折パターンを取得しRietveld解析で結晶構造解析を実施した。取得した回折強度データは連結や原点、角度補正などの補正を実施後、Rietveld法に結晶構造解析を実施した。解析の結果は最終信頼度因子Rp=2.57,Rwp=3.67,Rb=2.53,Rf=1.48[%]という構造解析による原子位置決定に十分な精度の結果を得ており、データ取得その後のデータ処理などが適正に実施できていることが示された。 本ガンドルフィカメラは非破壊で微量試料中の相の同定、結晶学的データの取得のみならず、良好な粉末回折データが得られれば微小試料の結晶構造決定にも有効であると考える。
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