研究概要 |
プラズマからの輝線スペクトル強度比を用いた分光診断は,絶対感度較正を必要とせず(波長相対感度のみ),衝突輻射モデルと組み合わせることで電子密度および電子温度を推定する有用な方法である.その手法として,従来グレーティング分光器による空間有限点のスペクトルを得る発光分光法か,あるいは干渉フィルタによる単一波長のイメージング計測が用いられてきた.本研究では両者の欠点を補う計測法として可変波長液晶リオフィルタによる分光イメージング法を提案し,その適用可能性を検討している. 本年度は,核融合生成物としてプラズマの周辺部に存在するため計測に適するヘリウム原子の光再吸収過程(輻射捕獲過程)に着目し,イメージング計測に組み込む試みを行った。 測定可能な輝線の選定をおこない,その感受性(複数輝線の強度比から電子密度・電子温度を求めるための衝突輻射モデルへの収束特性)を調べた.これによって,光再吸収に鋭敏な輝線5本と他計測による電子密度を利用した高精度法,輝線5本から光再吸収割合,電子密度,電子温度の3パラメータを同時に決定する自己完結法,および光再吸収に鈍感な輝線3本と再吸収割合の概算値を利用する簡易法とを確立させ,それらを比較した.その結果,やや計算に時間のかかる自己完結法で,荒い空間間隔において輻射捕獲を推定し,その推定値を用いて簡易法を用いれば,計算時間と精度を最適化したイメージング計測の実現が可能であることを示した.
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