研究概要 |
昨年度の研究により,水が関与する化学反応のモデル化が可能となった.これに加えて,当初計画段階では想定していなかった水中での気泡の成長までもがモデル化可能となった.そこで,本年度は,こうした気泡内の電界分布が外部パラメータである印加電圧,液体導電率,液体誘電率等によってどのように変わるのかを系統的に調べ,液体中での気泡内放電に適した印加電圧や電極部材物性を選定するための指針を明らかにした.一方,泡の形状やサイズの変化の時間スケールは,放電現象の時間スケールと比べると極めて大きいため,放電現象にとっては泡の形状やサイズは変化していない,と仮定してもよい.そこで,上記で得られた泡の中に発生した電界をもとにしてプラズマ発生のモデル化も行い,水中気泡内放電を総合的にモデル化した.また,昨年度の研究により,多孔質材料を用いて微細泡を多数集積化した大容量のプロセスの可能性が明らかとなった.多孔質材料やその誘電率等の最適化については,上記の計算モデルによって最適化することが可能であるが,実際に実験によって,プロセス結果を評価する必要もある.そこで,こうした多孔質材を用いた大面積・大容量の微細気泡内放電を集積化したものを,水中有機汚染物の分解等への材料プロセスの例として,メチレンブルーの脱色プロセスに適用し,その性能評価を行った.具体的には,赤外吸収分光法などを併用することによって,反応生成物の分析を行い,いかなる反応が生じているかを明らかにした.
|