研究概要 |
1微粒子プラズマの臨界現象の理論と観測について次の結果を得た。 (1)研究代表者の提案により,国際宇宙ステーション(ISS)におけるMax-Planck Institute for Extraterrestrial Physics(ドイツ)とJoint Institute for High Temperatures(ロシア)の実験に臨界現象の観測を目指したものが含まれている。密度揺動解析コードを開発し,結果の一部を分析した。密度揺動の増大が得られたが,非一様性などの検討が必要であることが分かった。 (2)密度揺動の観測で直接求まるのは,薄いシート状のレーザー光の散乱により得られる2次元データである。一方,求めたいのは3次元の密度揺動であり,2次元データを3次元に翻訳する必要がある。シート面に垂直方向のスキャンをすれば3次元データが得られるが,スキャンのできないこともある。構造因子について,2次元と3次元との間の変換公式を導いた。 2反応性低電離プラズマにおける密度揺動効果の解析に必要な有限プラズマの構造を記述する方程式を検討し,円柱状の形状を仮定して分子動力学およびモンテカルロ法によるシミュレーションを行った。 結果として,1成分および2成分のときの微粒子分布の具体的な結果を得た。 3溶液の理論で古くから知られている溶解度の限界に伴う臨界現象が,微粒子を溶質,プラズマを溶媒とする微粒子プラズマに存在する可能性がある。精密な熱力学関数に基づいて具体的な条件を求めるとともに,微粒子プラズマの臨界現象として研究代表者が初めて示した条件との関係を明らかにした:微粒子濃度を増加すると,まず,溶液理論の臨界現象が起きて相分離し,さらに濃度を増加すると,分離した高密度相において,これまで予想されていた現象が起きる。
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