研究概要 |
1)前年度開発したランタニド系列の原子のセグメント型基底関数の原子価軌道の分割、相関用基底関数の追加、無駄な縮約を取り除き簡潔な2倍基底、3倍基底、4倍基底を作った。原子系でのHFエネルギーおよび相関エネルギーのテスト計算を行い、十分な精度を実現したことを確認した。さらに、励起エネルギーのテスト計算の結果、他の基底関数と比べても高い精度を持つことが確認された。 2)Be-Xeまでの典型元素に対して、内殻の電子相関を加えることにし、内殻HF軌道の分割、相関基底関数の追加の後、第2,3周期は非相対論、第4、5周期は非相対論と相対論の2倍基底、3倍基底、4倍基底を作成した。原子系でのHFエネルギー、相関エネルギーと分子の分光定数の計算を行い、実験値、他の基底関数による結果と比較して十分な精度を有することを確認した。 3)未開発のCsからRnまでの相対論を考慮したHF基底関数の作成を行った。HF極限の結果と比較して満足できる範囲の精度を持つことが確認された。 4)H-Xeまでの開発した基底関数の公開は既にweb上で行っているが、更に世界的に広く使われている分子計算ソフトウエアGamessに内蔵することができ、今後この研究で開発された基底関数の利用者の拡大が期待される。また、webアプリケーションの改良を行い、基底関数の出力形式を新たに3つの分子計算ソフトウエアにも対応するようにした。
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