ステップ表面Pd(112)=[(s)3(111)×(001)]、およびIr(110)上のN_20(a)の分解から放出されるN2分子の空間分布を、NO+CO、NO+D_2、N_20+COの定常反応下で測定し、分解活性な中間体N_2O(a)の構造を窒素の空間分布とDFT理論計算から検討した。分解活性分子としてPd(211)上ではステップとテラスに跨るN_2O(a)が、Ir(110)上では[001]方向に寝た分子と表面酸化物の酸素欠陥部で分解する分子の2種を結論した。 1.[off-normal脱離モデル];脱離窒素の指向角の表面垂直方向からのズレは生成する表面酸素原子と発生機N_2間の反発によるとするモデルを理論計算で検討、ズレがPd<Ir<Rhの順となる(110)表面上の実験結果を再現し、このモデルをPd(211)上にも適用できた。 2.[遷移状態]; NO(a)+N(a)→N_2O(a)→N_2(g)+O(a)の反応は、まずN_2O(a)の馬型(2つのNで吸着)が生成、帽子型(端のNとOで吸着)に変化してから分解し窒素を放出するとDFT理論で結論した。N_2の分布は帽子型N_2Oの分子軸に沿う面内に鋭く分布することを分子動力学で確認した。 3.[Pd(211)]; NOの還元で中間体N_2Oの分解を経由する窒素放出経路は水素で加速される。水素の表面蓄積が少ない条件で中間体N(a)が増加するためである。NO+D_2の定常反応のN_2放出はN_2O(a)分解によるoff-normal脱離から、N(a)+N(a)→N_2(g)による垂直脱離に急激に切り替わる。NO+COの反応でのN_2放出経路の変更は遅い。 4.[Ir(110)]; NO還元ではN_2O経由でPd上と同じN_2放出経路の他に、表面酸化物からの鋭い脱離を確認、酸素端吸着分子の分解モデルを提案した。
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