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2009 年度 実績報告書

ラジカルクラスターを利用したラジカル反応の立体効果の研究

研究課題

研究課題/領域番号 21550006
研究機関東京大学

研究代表者

住吉 吉英  東京大学, 大学院・総合文化研究科, 助教 (50291331)

キーワードラジカルクラスター / ラジカル反応 / 立体効果 / 分子間相互作用 / 高分解能分光
研究概要

ラジカル反応の立体効果は、衝突時に反応する分子同士の配向の違いにより、反応性が変化する興味深い現象であるが、その詳細は未解明である。本申請課題では、ラジカルクラスターを利用して、立体効果を中心に、ラジカル反応の詳細を分子レベルで理解する事を目的とする。初年度にあたる平成21年度は、大気化学反応過程で重要な役割を果たしている基本的なラジカルである一酸化窒素(NO)ラジカルが弱い分子間相互作用によりHe原子と結合して形成されるHe-NOクラスターの純回転遷移の探査を行い、気相中における検出に初めて成功した。ArやNeなどの他の希ガス原子から成るクラスターと比較して、Heクラスターは結合エネルギーが非常に小さい。そのため、
(1)分子間振動の励起状態が存在しない。
(2)He原子はNOラジカルの周りを自由に動き回っている。
など、他の希ガスクラスクーには見られない特異な性質を明らかにした。更に、NOラジカルの不対電子の存在する方向に大きな引力が働いていることが判った。これはラジカル反応の立体効果と不対電子の関係を示唆する重要な結果である。本研究では特異なエネルギー構造をもつラジカルクラスターの高分解能分光データを基に、分子間相互作用ポテンシャルを決定する新しい解析手法を開発した。更に、この解析を適用して決定した分子間相互作用ポテンシャルから、NOラジカルの不対電子の存在する分子軌道を3次元的に可視化する方法を考案した。これはクラスター形成に伴って、不対電子軌道がどのように変化しているかを直接観測できる手法として画期的な方法である。

  • 研究成果

    (11件)

すべて 2009

すべて 雑誌論文 (7件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (2件) 図書 (2件)

  • [雑誌論文] An experimental and theoretical study on vibrational structure in the B-X transition of CH2CHS.2009

    • 著者名/発表者名
      M.Nakajima
    • 雑誌名

      Journal of Chemical Physics 131

      ページ: 104310-1-7

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Fourier-transform microwave spectroscopy of CH2CFO.2009

    • 著者名/発表者名
      A.Watanabe
    • 雑誌名

      Journal of Chemical Physics 130

      ページ: 224304-1-7

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Spectroscopic Detection of Isolated Carbonic acid.2009

    • 著者名/発表者名
      T.Mori
    • 雑誌名

      Journal of Chemical Physics 130

      ページ: 224308-1-7

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Pure rotational spectra of the CCCF radical.2009

    • 著者名/発表者名
      T.Yoshikawa
    • 雑誌名

      Journal of Chemical Physics 130

      ページ: 164303-1-5

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Laser spectroscopy of the A^2A'-X^2A" system for the HSO radical.2009

    • 著者名/発表者名
      T.Yoshikawa
    • 雑誌名

      Journal of Molecular Spectroscopy 254

      ページ: 119-125

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Fourier-transform microwave spectroscopy of the CCCCI radical.2009

    • 著者名/発表者名
      T.Yoshikawa
    • 雑誌名

      Journal of Chemical Physics 130

      ページ: 094302-1-5

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Gas-phase spectroscopy of the 2^3Σ^--X^3Σ^- electronic transition of CCS.2009

    • 著者名/発表者名
      M.Nakajima
    • 雑誌名

      Journal of Chemical Physics 130

      ページ: 014302-1-10

    • 査読あり
  • [学会発表] Ne-NOおよびHe-NOクラスターの分子間相互作用ポテンシャル2009

    • 著者名/発表者名
      住吉吉英
    • 学会等名
      分子科学討論会
    • 発表場所
      名古屋大学
    • 年月日
      2009-09-21
  • [学会発表] High-resolution spectroscopy of atom-diatom radical completes.(招待講演)2009

    • 著者名/発表者名
      住吉吉英
    • 学会等名
      30th International Symposium on Free Radicals
    • 発表場所
      フィンランド共和国、サボンリンナ
    • 年月日
      2009-07-29
  • [図書] 分光測定入門シリーズ第9巻 電波を用いる分光~地球(惑星)大気、宇宙を探る~2009

    • 著者名/発表者名
      住吉吉英
    • 総ページ数
      195
    • 出版者
      講談社サイエンティフィク
  • [図書] 分光測定入門シリーズ第3巻 分光装置 Q&A2009

    • 著者名/発表者名
      今城尚志
    • 総ページ数
      156
    • 出版者
      講談社サイエンティフィク

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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