研究課題/領域番号 |
21550009
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研究機関 | 総合研究大学院大学 |
研究代表者 |
廣田 栄治 総合研究大学院大学, 学融合推進センター, 特任研究員 (30011464)
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研究分担者 |
川口 建太郎 岡山大学, 自然科学研究科, 教授 (40158861)
石渡 孝 広島市立大学, 情報科学部, 教授 (40134811)
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キーワード | NOx分子 / 硝酸ラジカル / 振電相互作用 / 赤外スペクトル / 電的分子構造 |
研究概要 |
(1)B-X,O-Oバンド 電子基底状態のもっとも低い2個の回転準位間隔に等しい分裂をもち、特異的なゼーマン効果を示す二重項を検出した。このような二重項は数組現れており、標記バンドだけでなく、電子基底状態やA電子励起状態の高い振動状態への遷移が、標記バンドから強度を借りて観測されているものと思われる。 (2)電子基底状態の振動帰属 従来、v_3はもっとも強い赤外吸収である1492cm^<-1>バンドに帰属されていた(Assign I)。これに対し、Stantonは振電相互作用の理論計算からv_3を1000cm^<-1>付近に予測し(Assign II)、1492cm^<-1>バンドはv_3+v_4に帰属された。本研究は1492cm^<-1>バンドを再解析するとともに、v_4状態からのホットバンドを観測して、二つの帰属のいずれが正しいかを確証することを目指した。v_3+v_4←v_4は1個のE-Eと2個のA-Eサブバンドから成り立つ。前者の上の状態は1492cm^<-1>バンドと同じであり、E-Eサブバンドだけでは二組の帰属の正否は決められない。そこでフーリエ変換赤外分光器を整備して感度を向上し、鍵を握るA-Eサブバンドと思われるシリーズを2組見出した。片方は^pP branchに、もう一方は^TR branchに帰属した。この観測はAssign IIを支持しているようにみえる。しかし、各branchがそれぞれ1組ずつしか観測されないこと、観測されたスペクトルパターンやえられた分子定数に理解できない異常が多々あり、v_3+v_4帰属を確証することはできなかった。Assign IではA対称性の摂動状態を仮定する必要があり、その有力候補は2v_2である。上記2個のbranchが上の状態を共通にしていることをGSCDから確認した。えられた分子定数は妥当である。なお上記E-Eサブバンドと1492cm^<-1>バンドを併用してv_4状態の分子定数を、一部のものを除いて、始めて決定した。
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