研究概要 |
(1)電子基底状態の振動帰属 ^<14>NO_3についてv_4からのホットバンド(1127cm^<-1>)とv_2/2v_4バンド(762cm^<-1>)を再測定するとともに、新しくv_4基音バンド(365cm^<-1>)を観測した。^<15>NO_3についてもv_4からのホットバンド(1113cm^<-1>)とv_2/2v_4バンド(743cm^<-1>)を新たに測定した。^<14>NO_3ではv_2/2v_4が接近しているため、まだ十分な解析ができていないが、^<15>NO_3では両者が離れているので、v_2についてほぼ満足できる結果がえられた。^<14>NO_3v_4バンドは観測帰属がhigh-N,Kの遷移のみに限られているが、えられた分子定数は1492cm^<-1>およびv_4からのホットバンドからえられた結果とよく一致している。 ^<15>NO_3、v_4からのホットバンドには1個のA-Eバンドが観測され、2v_2-v_4に帰属した。また下記振電相互作用についての考察に基づき慣性欠損の解析を行った。これらの結果はAssign Iの正しいことを示しており、電子基底状態の振動帰属の問題は解決した。 (2)振電相互作用 v_4,v_1+v_4,v3,v_1+v3の4個のE-typeバンドについて、1次のコリオリ結合定数と有効スピン・軌道相互作用定数の間に高い相関があることが分かった。この事実は不対電子の対称軸まわりの軌道角運動量が縮重振動の角運動量と強く結合していることを示している。実際慣性欠損や遠心力歪定数は一次のコリオリ結合定数の実測値によってよく再現できる。ただし3v_4,l_4=±1状態についてはl_4=±3状態との混合をさらに詳しく検討する必要がある。 (3)B-X,0-0バンド 電子基底状態の低い回転状態とのcombination differenceにより多くの遷移を帰属し、ゼーマン効果を測定した。現在解析用プログラムを作成し、微細構造の相対強度、ゼーマン効果の理論的表現を加えて、解析を進めている。
|