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反応遷移状態における化学種の構造や内部状態分布は反応生成物の反応分岐に大きな影響を及ぼすことが知られている。我々は反応に関与する反応物の配向状態を規定して反応を開始させることで、遷移状態における衝突錯合体の構造を選別した研究を行い反応分岐の発現機構の解明を目指した。また、反応における衝突エネルギー依存性から衝突の際の分子の再配向が及ぼす影響を調べた。
六極不均一電場により単一量子状態のOHラジカルを選別し、HBrとの反応における分子配向依存性について調べた。実験結果を詳細に解析し反応の衝突方向に沿った反応確率関数をルジャンドル多項式により求めたところ、0端からの衝突が最も反応性に富むことを突き止めた。一方、側方からの衝突による反応性はほとんど見られず、H端からの衝突では優位な反応性が見られた。これはBr原子生成糧には二つの反応機構が存在することが示唆された。一方、反応の衝突エネルギーを減少させた場合、反応断面積が増大することを示した。がわかった。これは反応の際に分子が反応に有利な方向に再配向するためであると考えられる。現在、衝突エネルギーの変化に伴う分子配向依存性の研究を継続している。より詳細に反応機構を調べるためにはHBr分子のアライメント状態の選別が不可欠である。我々は偏光レーザーを用いてCO分子のアライメント状態の選別に成功した。現在、反応に関与する両方の分子の配向状態を選別した条件下で、OH+COの反応により生成したH原子生成の分子配向依存性、および衝突エネルギー依存性に関する研究を行っている。
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