研究課題
本研究では、特異な構造と物性を有し、ナノカーボン新炭素素材として期待される金属内包フラーレンの新規化学修飾法を開発し、分子変換による機能の発現を目指している。置換基導入の付加位置を制御した化学修飾を行ない、新たな金属内包フラーレン誘導体の創製を行なう。平成23年度は、ラジカル性を有する金属内包フラーレンLa@C_<82>に対してベンジルラジカル等のフリーラジカルとの反応を検討した。ラジカルとの反応では、これまで研究してきたディールスアルダー付加反応とは異なる反応性や付加位置選択性を示すことが分かり、新たな官能基と付加位置を有する金属内包フラーレン誘導体の合成に成功した。反応の違いによるフラーレン炭素への付加位置選択性について理論計算による検証を行なったところ、理論と実験結果に良い一致が見られた。さらに、金属内包フラーレンLa2@C_<82>。のカルベンー付加体に対して、カルベン付加反応による更なる官能基化を行なった。対称性が悪いために多数の付加位置異性体の生成が予想されたにもかかわらず、二つ目の付加反応が位置選択的に進行し、カルベン二付加誘導体の効率的な合成単離精製に成功した。誘導体は単結晶X線構造解析による構造決定に成功し、フラーレン炭素ケージに内包されているLa原子の位置、挙動等について興味深い結果が得られた。
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