研究課題/領域番号 |
21550040
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
高橋 雅樹 静岡大学, 工学部, 准教授 (30313935)
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研究分担者 |
依田 秀実 静岡大学, 工学部, 教授 (20201072)
仙石 哲也 静岡大学, 工学部, 助教 (70451680)
川井 秀記 静岡大学, 電子工学研究所, 准教授 (80324341)
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キーワード | 光捕集色素 / ハイブリッド / コア・シェル / ナノ粒 |
研究概要 |
本年度は、これまでに開発した「ハイブリッドコア・シェルナノ粒子」の光機能特性の評価を中心に検討を行った。この複合ナノ粒子は、極性の低いトルエン溶液状態にて一週間以上におよぶ長時間においても安定に存在することが明らかとなった。一方で、この複合ナノ粒子の表面を覆っている色素は、塩基との作用により脱プロトン化を受け、金ナノ粒子から解離することが分光測定により判明した。トルエン溶液中における複合ナノ粒子の分光測定では、色素由来の蛍光発光はほぼ完全に消光された。この観測結果は、色素が金ナノ粒子の表面に近接していることを反映したものと当初予測していたが、実際に、色素が遊離できる極性溶液中において複合ナノ粒子の分光測定を行ったところ、色素由来の蛍光発光が明確に出現したことからも、上述の構造モデルが裏付けられた。これにより、複合ナノ粒子の構造は、中心に金ナノ粒子が存在し、その周囲を色素が取り囲む構造を有していることが改めて証明された。これらの複合ナノ粒子は、表面に存在する色素由来の脂溶性によりポリスチレン中に均質に分散可能であり、このようにフィルム化したサンプルは、溶液状態における複合ナノ粒子に類似した光学的物性を与えることが確認された。また、これまでの複合化に利用してきた単座型色素界面活性分子だけでなく、新たに開発した多座配位子型界面活性分子においても四塩化金酸との複合化反応は進行し、比較的粒径の大きな複合ナノ粒子が生成することが判明した。この結果、色素分子構造の設計により複合ナノ粒子の粒径を制御できる可能性が示唆された。
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