研究概要 |
1.新規メソイオン液体の合成法の開発 メソイオン液体として1,3-ジアルキルテトラゾリウムオレートならびにその関連化合物の効率的な合成方法について研究を行った。濃硫酸中でテトラゾールチオンをアルコールと反応させると効率的にN-アルキル化が進行することを見出し、テトラゾリウム型メソイオン液体の新規合成法を確立した。本方法で導入できるアルキル基の範囲を調べるとともに、反応機構について研究した。 2.イオン液体中における有機インジウム反応剤の調製と反応 メソイオン液体や通常のイオン液体中でのインジウム反応剤の反応挙動について前年度に引き続き研究した。 (1)イオン液体中でアリルインジウム反応剤がカルボニル化合物を高収率でアリル化するものの、クロチル化などのγ位に置換基を有するアリル化は複雑な反応混合物を与え、目的物は殆んど得られなかった。興味深いことに、本反応媒体中に塩化勃イオンなどの配位子を共存させると高収率でホモアリルアルコールが生成した。一方、メソイオン液体ではそのような配位子の共存は不要であり、メソイオン自体が強い配位性を有することが初めて明らかになった。 (2)炭素-炭素三重結合へのアリルインジウムの付加(アリルインデーション)は通常の有機溶媒中では速やかに進行するが、メソイオン液体中では全く生成物は得られなかった。本反応はBarbier型反応でも未反応であり、本溶媒中ではインジウム反応剤の生成が困難であることを示唆している。
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