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2009 年度 実績報告書

多重配位モード籠形分子の開発とアロステリックな配位挙動の展開

研究課題

研究課題/領域番号 21550045
研究機関神戸大学

研究代表者

瀬恒 潤一郎  神戸大学, 理学研究科, 准教授 (10117997)

キーワードポルフィリノイド / クリプタンド / ピロール / アロステリック効果 / 不斉増幅
研究概要

3つのジピリルピリジン鎖からなるクリプタンド型ポルフィリノイド(1)に対するカルボン酸の配位挙動について、詳細な知見を得ることを目的として、ジピリルピリジン鎖とジピリルベンゼンが1:2および2:1の混合型クリプタンドの合成を達成した。前者(2)は1個のトリフルオロ酢酸(TFA)を捕捉し、アセトニトリル:ジクロルメタン9:1混合溶媒中で456nmに1:1錯体由来の吸収帯を示した。このUV-vis滴定から会合定数はlogK=4.97±0.04と算出した。同じ混合溶媒系での(1)とTFAのバインディング実験では段階的なスペクトル変化がみられ、460nm,440nmに中間体の吸収極大が観測され、最終的に338nm,311nmに吸収帯を有する1:3錯体が生成した。今後、2:1混合型クリプタンド(3)の配位挙動についても実験を行い、ジクロルメタン中での(1)のアロステリックな配位挙動の全貌を明らかにする予定である。一方、(1)はジクロルメタン中で(R)-(-)-マンデル酸の添加により、480nmに正のCDシグナルを示すが、このCD強度はマンデル酸の光学純度とは直線関係になく、そのプロットは上方(CD強度の高い方向)にふくらんだ曲線となることを見いだした。即ち、不斉増幅現象が起きていることになる。ジクロルメタン中で(1)にL-(+)-0,0'-ジベンゾイル酒石酸を添加すると480nmに強い負のCDシグナルが現れたが、マンデル酸で見られたような不斉増幅現象は認められなかった。0,0'-ジベンゾイル酒石酸ラセミ混合物と(1)との錯体NMRスペクトルでは3種類のジアステレオマーが観測されたが、マンデル酸のラセミ混合物と(1)との錯体のNMRは(R)-(-)-マンデル酸と(1)との錯体のNMRと全く同一で1種類の錯体のみが観測された。多重配位と不斉増幅現象の関係について、溶媒効果や配位能の異なるクリプタンドを用いた研究についても行う予定である。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2010 2009

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (7件)

  • [雑誌論文] Photooxidation of phenol derivatives using μ-(dihydroxo)dipalladium(II)bisporphyrin complex2010

    • 著者名/発表者名
      Y.Takao, T.Ohno, K.Moriwaki, F.Matsumoto, J.Setsune
    • 雑誌名

      J.Porphyrins and Phthalocyanines 14

      ページ: 64-68

    • 査読あり
  • [学会発表] アミノ酸配位による大環状ポルフィリノイドコバルト複核錯体のヘリシティー制御2010

    • 著者名/発表者名
      瀬恒潤一郎、皮間未来、西中健
    • 学会等名
      日本化学会第90春季年会
    • 発表場所
      近畿大学(大阪府)
    • 年月日
      2010-03-27
  • [学会発表] 8の字型ポルフィリノイドの合成とヘリカルキラリティーの制御2009

    • 著者名/発表者名
      瀬恒潤一郎
    • 学会等名
      第8回機能性分子シンポジウム
    • 発表場所
      筑波大学(茨城県)
    • 年月日
      2009-12-19
  • [学会発表] 大環状ポリピロール誘導体の合成と捻れたπ共役構造の動的挙動2009

    • 著者名/発表者名
      瀬恒潤一郎
    • 学会等名
      創製分子科学シンポジウム
    • 発表場所
      神戸大学(兵庫県)
    • 年月日
      2009-12-05
  • [学会発表] 大環状ポリピロール誘導体の合成と捻れたπ共役構造に基づく分子機能2009

    • 著者名/発表者名
      瀬恒潤一郎
    • 学会等名
      2009年度有機合成化学協会関西支部賞受賞講演会
    • 発表場所
      大阪科学技術センター(大阪府)
    • 年月日
      2009-11-27
  • [学会発表] ピリジン環を含む拡張ポルフィリンアナローグ金属錯体の構造と性質2009

    • 著者名/発表者名
      西中健、瀬恒潤一郎
    • 学会等名
      第59回錯体化学討論会
    • 発表場所
      長崎大学(長崎県)
    • 年月日
      2009-10-26
  • [学会発表] 籠型ポルフィリノイドの新規なバインディング挙動2009

    • 著者名/発表者名
      西中健、瀬恒潤一郎
    • 学会等名
      第20回基礎有機化学討論会
    • 発表場所
      群馬大学(群馬県)
    • 年月日
      2009-09-28
  • [学会発表] Synthesis of Novel Porphyrin Analogues and Their Functions2009

    • 著者名/発表者名
      瀬恒潤一郎
    • 学会等名
      The 4th East Asia Symposium on Functional Dyes and Advanced Materials
    • 発表場所
      大阪国際交流センター(大阪府)
    • 年月日
      2009-06-04

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公開日: 2011-06-16   更新日: 2016-04-21  

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