研究概要 |
染料や蛍光着色剤として利用されているアントラセンやアントラキノン骨格を活用して、拡張超原子価結合のような非結合相互作用をアセチレン結合間およびジアセチレン結合間に内包させ、新規な光学特性を有する分子やスイッチング超分子の構築が期待できる化合物群を設計・合成し、その機能を評価するため、次の4つを本研究の目的として、課題に取り組んでいる。 1.らせん構造をとると期待できる化合物群を合成し、結晶構造の解析や各種物性測定を行う。 2.アントラキノンやアントラセンの2位や7位に立体障害となる基を導入したり、カルコゲニドを酸化したりして、zig-zag構造をとると期待できる化合物群を合成し、結晶構造の解析や各種物性測定を行う。 3.環状系化合物群の合成を行なう。 4.包接化合物群への展開を検討する。 合成に先立って量子化学計算を駆使して、化合物の安定性やその非結合相互作用や結合様式について検討を行った。アセチレン結合を有する系については、保存中開裂が起こるケースが多く見られ、計算結果にもその傾向がみられたので、合成の優位さも考慮して、第16族原子を含むアントラキノン骨格、アントラセン骨格、ナフタレン骨格をジアセチレン結合により連結させた化合物の合成に取り組んだ。これらの化合物のいくつかの構造をX線結晶構造解析により決定した。化合物中の第16族原子およびジアセチレン結合部位の特性に着目し、種々の分析機器(NMR,IR,UV,蛍光,CV等)を用いて探索した。
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