研究課題/領域番号 |
21550052
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研究機関 | 神奈川大学 |
研究代表者 |
渡辺 信子 神奈川大学, 理学部, 助教 (40291744)
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研究分担者 |
松本 正勝 神奈川大学, 理学部, 教授 (10260986)
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キーワード | 分子認識 / ジオキセタン / 発光プローブ / 化学発光 |
研究概要 |
本研究はCTID(Charge-transfer-induced decomposition,電荷移動誘発分解)型ジオキセタンの化学発光プローブとしての可能性を探るものである。すなわち、1、分子認識プローブ、2、金属イオンプローブおよび3、溶媒極性評価プローブの3種類の化学発光プローブ開発を目的としている。23年度も各プローブの候補となるジオキセタン骨格の選定を含めた基礎検討を行った。分子認識プローブ開発としては、回転異性体syn/anti間で発光特性の異なるN-置換ジオキセタンについて検討を行なっているが、刀位置換基として導入したBoc基およびカルバモイル基のカルボニルの配座がその発光特性に影響を与えることが新たに分かった。カルボニル基が芳香環側に対して逆向きでは、塩基をTBAFからt-BuOK系に変えることで通常の青色シフトするのに対し、逆の場合は赤色シフトし分解速度が増加した。金属イオンプローブ開発としては、ビスアリール置換ジオキセタンでの検討を行なっているが、2,2'-ビナフトール-7-イル置換ジオキセタンが、CTID型ジオキセタンとしては初めて、アルカリ土類金属であるMg^<2+>存在下で発光し、しかもNa^+およびK^+存在下より効率の良い発光を示すことを見出した。溶媒極性評価プローブには、4位にベンゾチアゾリル基を有する3-ヒドロキシフェニル置換ジオキセタンが、極性溶媒中SPD(solvent-promoted decomposition)により溶媒の極性に対応した発光を示すことからこの目的に合致している。ベンゾチアゾリル基の効果について検討するため、3-ヒドロキシフェニル上の置換位置を変えたオキセタンを合成したところ、2位-置換体ではその発光効率が低く、発光を伴わない全く新たな分解が進行していることを明らかとした。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、3つのCTID(電荷移動誘発分解)型ジオキセタンによる新規化学発光プローブの開発を目指すものである。現時点までに、各プローブの候補となるジオキセタン骨格を見出し、その基礎的データの集積および問題点を明らかにしている。
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今後の研究の推進方策 |
分子認識プローブの候補としている、アミノ置換ジオキセタンではN位への分子認識ユニット導入が問題となる。ヒドロキシアリール基の配座に併せてN位置換基のカルボニルの配向が発光特性に影響を及ぼすことから、その設計を早急に行なう必要がある。金属イオンプローブおよび溶媒極性評価プローブに関しては、候補ジオキセタンの各種データ収集を継続する。
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