研究課題
基盤研究(C)
一般的に振動反応を起こす系は、酸化剤、還元剤、基質、金属触媒、酸などで構成される複雑な系である。しかし我々は、バナジウム錯体をジクロロメタンに溶解するだけで振動反応が起きるというユニークな系を発見した。この反応系で起きている現象を明らかにするために、種々の実験を行い、次のことを見つけた。(1)振動反応は[ V(IV) OCl_2(bpy)]または[ V(III) Cl_3(CH_3CN)(bpy)]のジクロロメタン溶媒中でのみ起こり、ジクロロメタンに類似した他のハロメタン溶媒では起こらない。(2)振動反応は、一定温度では非周期的である。しかし、温度パルスを与えると、それに追随する周期的な振動が観測される。(3)ジクロロメタンの光分解が引金となり、分解反応で生じるペルオキソラジカルが酸化剤として働いている。(4)この振動反応は、コバルトレーターをモデルとした反応機構によって数学的にシミュレーションできる。
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European Journal of Inorganic Chemistry
巻: (in press)
Coordination Chemistry Reviews
巻: Vol.255 ページ: 2388-2397
Chemistry Letters
巻: Vol.39, No.6 ページ: 624-626