イミダゾール酢酸(ima)をキレート配位子に有するニッケル錯体[Ni(ima)2(MeOH)2]の合成を行い、その結晶構造解析を行った。この化合物は分子間が水素結合で連結された三次元骨格を有し、およそ8Åの有効サイズを持つチューブ状チャンネルを形成していることが明らかとなった。このチャンネル内にはメタノールがゲスト分子として取り込まれているが、ほとんどは空のまま、他の小分子の取り込みに有効な空間として残っていることが明らかとなった。そこで、気体状ゲストとして二酸化炭素の吸着実験を行った結果、有為な二酸化炭素の吸着活性が確認された。 また、この配位高分子は減圧条件下で加熱することでメタノールを失った[Ni(ima)2]に変化することが明らかとなった。この乾燥生成物はメタノール蒸気に触れると[Ni(ima)2(MeOH)2]を再生することが粉末X線回折の変化から明らかになった。そこで、メタノールの添加を"鍵"とする細孔機能構造の発現について検討を行った。その結果、メタノールより大きなエタノール分子の吸着活性が、メタノールの添加で誘起されることが明らかとなった。さらに、[Ni(ima)2]に架橋配位子として、種々のビスピリジン型配位子を添加することで[Ni(ima)2(ビスピリジン)]型の配位高分子が得られることを見いだした
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