研究概要 |
我々は,白金と11族の金属イオンからなるピラゾラト配位子が架橋した混合金属錯体が,発光量子収率が高いにも関わらず,EL特性が十分得られない原因の一つとして,これらの混合金属錯体の吸収帯が300nmより短波長側にしか存在しないことに注目している.吸収帯を長波長側にシフトさせる方法の1つとして,混合金属錯体中の白金イオンへのジイミン配位子の導入が考えられる.最近我々は,ビピリミジンがキレート配位した二核白金錯体[Pt_2(bpym)_2(μ-R_2pz)_2]^<2+>(R=H,Me)の発光がPt…Pt距離の違いに依存しており,^3LC/MLCT (R=H)からの発光の場合と^3MMLCT(R=Me)からの発光の場合が存在することを明らかにした.これらの錯体は、353nmおよび377nmにそれぞれMMLCTに由来する吸収帯を持つ.3-t-ブチルピラゾールを用いて類似錯体の合成を試みたところ,単核錯体[Pt(bpym)(3-^tBupzH)_2](PF_6)_2が生成することが分かった.この単核錯体では,3-t-ブチルピラゾールがプロトンを解離することなく配位している.そこで,この錯体にトリエチルアミン存在下,Ag^+イオン,Au^+イオン,Cu^+イオンをそれぞれ作用させることにより,混合金属錯体[Pt_2M_2(bpym)_2(3-^tBupz)_4](PF_6)_2(M=Ag,Au,Cu)の合成・単離に成功した.さらに,キレート配位子の違いにより混合金属錯体の諸性質にどのような違いがみられるかを調べるために,ビピリジン(bpy)についても類似錯体の合成を行い,ビピリミジン錯体との比較を行った.Pt_2Ag_2錯体およびPt_2Au_2錯体についてそれぞれX線構造解析を行ない,構造を明らかにした.bpym錯体,bpy錯体とも比較的強い発光を示し,bpym錯体は,黄緑色(Ag),青緑色(Au),黄色(Cu)の発光,bpy錯体は,黄緑色(Ag),黄色(Au),黄色(Cu)の発光をそれぞれ示した
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