研究概要 |
本研究の準備段階で合成したイミド架橋Ru_2Pt異種金属3核クラスター[{(Cp*RuMe)(μ_2-CH_2)(RuCp*)}-(μ_3-NPh){Pt(PPMe_3)_2}]OTf (Cp*=η^5-C_5Me_5, OTF=OSO_2CF_3)をトルエン中50℃に加熱することにより、三方平面型カーバイド配位子を有するRu_2Pt異種金属3核クラスター[{(Cp*Ru)_2(μ_2-NHPh)-(μ_2-H)}(μ_3-C){PtMe(PPMe_3)_2}]OTf (1)がほぼ定量的に得られることを見出し、X線解析と分子軌道計算にによりその構造の詳細と電子状態とを明らかにした。さらに、Fischer-Tropsh反応の鍵中間体の一つとされる表面カーバイド種のモデル錯体として1の化学反応性を詳細に検討した。その結果、1を1気圧のCOと反応させると、カーバイド配位子と隣接するヒドリドおよびメチル配位子との間のC-HおよびC-C結合形成反応がクラスター上で進行し、架橋エチリジン錯体[{Cp*Ru(CO)}2(μ_2-CHMe)(μ_2-NHPh)]OTf(2)が生成することを見出した。温和な条件下において、Fischer-Tropsh反応において提唱されている表面カーバイド種と表面ヒドリド種、メチル種との間でのC-HおよびC-C結合形成反応に対応する反応が、Fischer-Tropsh反応の基質分子であるCOとの反応により多核サイト上で選択的・効率的に進行することを錯体化学的に明らかにすることができた。
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