研究課題
1. キュバン形構造を持つ発光性ヨウ化銅(I)四核錯体の多形結晶の構造と発光挙動の温度依存性の研究(1) [Cu4I4L4](L=トリフェニルホスフィン)において、異なる発光色を示す単斜晶系(黄緑)および立方晶系(青緑)の二種類の多形結晶を見いだした.結晶構造解析により,発光挙動に関係する錯体分子の中心にあるCu4I4キュバン骨格の大きさが多形間で異なることを初めて明らかにした.(2) 多形結晶の室温~78Kの発光色と結晶構造の温度依存性について測定した.単斜晶系結晶の発光色は温度低下に伴って長波長に移動し,78Kでは橙色になったが,立方晶系ではほとんど変化がなかった.この違いについて、発光極大エネルギーと4つの銅原子でつくるCu4四面体の大きさとの相関に注目し,Cu4四面体体積が縮小するにつれて発光極大エネルギーが低下することを初めて系統的に明らかにした.(3) 結晶中でのキュバン骨格の構造変化は,錯体分子の外側を取り囲むトリフェニルホスフィン配位子の分子間相互作用により,その影響が配位子と直接結合する銅原子でつくるCu4コアサイズの変化をもたらすことが明らかになった.2. ピリジンチオール誘導体架橋の銀(I)銅(I)混合一価六核錯体の合成と発光特性に関する研究(1) [Ag(6-n)Cu(n)(Et-pyt)6](n=1~3; Et-pyt=エチルピリジンチオール)の初めて合成し,その結晶構造を明らかにした.分子構造は、銀および銅6核錯体と同様の構造を持つことが明らかになった.(2) これらの錯体は、固体状態で紫外線照射下で橙赤色の発光を示す.その発光極大は単一でAg/Cuの比によってエネルギーがシフトし,金属原子の組み合わせによって発光を制御できる可能性を見いだした.
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Chemistry-A European Journal 15
ページ: 2384-2393