研究概要 |
昨年度2当量の[Pt(Me)2(bpy)]と1当量のHgCl2を反応させ、共有結合型の金属-金属結合2個を有する三核錯体{Pt(Me)2(bpy)Cl}-{Hg}-{Pt(Me)2(bpy)Cl]}(1)およびその異性体である共有結合型の金属-金属結合と供与結合型の金属-金属結合を1個ずつ持つ三核錯体{Pt(Me)2(bpy)}→{HgCl}-{[Pt(Me)2(bpy)Cl]}(2)を合成した。これらの異性体は溶液中で異性化し平衡となるが,低温のCDCl3溶液中においては195Pt-NMRが一種類のピークしか示さないことから、共有結合型の三核錯体のみが存在していると予想された。しかし異性化が速い場合も同様なスペクトルとなることから確定はできなかった.今回ClをCl/Brr混合配位子にして測定したところ3種類の化学種が観測されたことから共有結合型の三核錯体として存在して存在していることが明らかにされた。また、非対称の三核錯体から白金間の結合定数J(Pt-Pt)が約6150Hzと求められた。ごの値は通常の直接結合を持つ複核錯体のIJ(Pt-Pt)と比較しても大きな値でありPt-Hg-Pt間に非常に強い結合があることを示している。また、白金ドナーとして[Pt(dbbp)(dbbpy)](H2dbbp=di-t-butylbiphenyl,dbbpy=di-t-butyl bipyridine)を用い同様な三核錯体を合成したところ。低温溶液中で共有結合型の三核錯体として存在しており、しかも二種類の化学種が存在していることが観測された。これは白金周りがビスキレート型となるため、二つの白金周りの立体配置の違いによるジアステレオマーが存在することによるものと考えられた。
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