研究概要 |
低侵襲的に間質組織中のグルコースをモニターするシステムの構築を目指した,シグナル増幅機能を内蔵する新規膜透過性制御型グルコースセンシングマイクロカプセルの開発を目指し,以下の研究を行った。 1.マイクロカプセルの核となる色素/酵素担持用徽粒子の合成法の確立 微粒子基材としてのアクリルアミド及び固定化部位としてのアミノエチルメタクリレートモノマー水溶液を,界面活性剤を含むヘキサン溶液に分散させ,逆乳化重合法によってポリアクリル微粒子を調製した。逆乳化重合条件を種々検討した結果,界面活性剤濃度を10%とすることで直径約5μmの球状微粒子が得られることが分かった。得られた微粒子表面にカップリング試薬を用いてメチルレッドを固定化し,pH変化に対する色変化応答を測定した結果,応答時間20秒程度で明瞭な色変化を示した。 2.カプセル膜のグルコース及びグルコン酸透過性の評価 グルコースに対するセンサー応答を増幅させるためには,センサーカプセ膜によるグルコース及びグルコン酸透過性の制御が必用となる。そこで,カプセル膜の基材としてのポリヒドロキシメチルメタクリレート(polyHEMA)薄膜に,陽イオン性モノマー,陰イオン性モノマー,アリルボロン酸モノマー等の種々のモノマーを添加したコポリマー薄膜を調製し,輸送セルを用いてグルコース及びグルコン酸の膜中拡散係数を測定した結果,アリルボロン酸のカプセル膜への添加がセンサー応答を増幅させるのに有効であることを見出した。 3.センシングカプセル応答の理論化・定式化と実験的検証 拡散方程式に基づくセンシングカプセルのグルコース経時応答の理論化・定式化を行い,実際のセンシングカプセル応答と比較することで応答モデルの検証を行うと伴に,カプセルの微小化により応答速度が劇的に早くなることを示した。この研究成果をSupramolecular Chemistry誌に発表した。
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