酸化ストレスは人々の健康に大いに関係し、未解明なものが多い。本研究は申請者が独自で開発したプローブ光の偏向測定法で活性酸素による細胞の応答を非侵襲的に判定し、また細胞内の活性酸素を化学発光法により定量することを試みた。さらに、キャピラリー電気泳動法で細胞成分の分析も行った。 細胞はヒト肝細胞株HepG2を用い、5%ウシ胎児血清を含有させたEagle's MEM培地(FBS-MEM)に培養した。具体的には下記の研究を行った。 1.酸化ストレスによる細胞応答の偏向測定 自作してきたビーム偏向測定系で単一細胞の偏向信号を測定した。測定は細胞培養条件(5%CO2の雰囲気、温度が37℃)下で行う。酸化ストレスは(1)紫外線照射処理、(2)過酸化水素の処理等の方法で細胞内に活性酸素を発生させ、それによる細胞の酸化ストレス応答は偏向信号でreal timeでモニタリングした。紫外線の照射量、照射時間の細胞への殺傷力を詳しく検討した。また、添加した過酸化水素の濃度が0.001%程度のなると細胞は即死することも明らかにした。 2.単一細胞のキャピラリー内への注入及びin-capillary反応の検討 単一細胞のキャピラリー内への注入は顕微鏡下で見ながらマニュピューレーターで行えることを明らかにした。また、キャピラリー内で蛍光誘導体化反応も検討した。 3.キャピラリー電気泳動(CE)-レーザー誘導蛍光検出による細胞の測定 オンカラム及びポストカラムレーザー蛍光検出(励起用半導体レーザー、蛍光を検出する光電子増倍管及び関連する検出回路等は現有で)系は作製し、キャピラリー電気泳動と結合し、細胞の測定を行った。 4.H_2O_2で処理した細胞内活性酸素の測定及び偏向信号との相関検討 細胞内活性酸素をルミノール化学発光法で測定した。また、偏向信号との相関関係も検討した。
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