研究概要 |
本研究では、従来の気体試料捕集器具が有していた複数の欠点を同時に克服するとともに、抽出後の試料を一定時間保存可能とする、注射針形状のマイクロ試料前処理デバイスの開発を行うとともに、それらを応用した患者呼気による糖尿病の新規非侵襲診断法の開発を主たる研究目的としている。 本研究二年目である平成22年度は、当初の研究計画に沿って、抽出媒体として用いる合成細繊維表面の化学修飾、ならびに針内誘導体化反応を中心に、詳しく検討した。 1)繊維表面への化学修飾 合成細繊維の表面を化学的に修飾することにより、細繊維表面への官能基の導入を行った。これにより、抽出選択性がその目的に応じてデザイン可能であることが明らかとなったほか、その応用可能性についても確認できた。 2)針内誘導体化反応の検討 上記とあわせて、分析対象物質の各種誘導体化反応の導入についても検討した。カルボニル化合物に対する誘導体化試薬として第一選択とする2,4-ジニトロフェニルヒドラジン(DNPH)を用いて、誘導体化プロセスを最適化した。試料採取前のコンディショニングから、試料採取、更に、分析装置への注入までの各種実験パラメーターを最適化した。このDNPH等を用いた針内誘導体化反応は、予備的実験により、その呼気分析への実用性が示唆されていたが、他の各種誘導体化試薬、それらと分析対象物質との適合性、ならびにその最適誘導体化反応条件等についても、総合的に検討した。
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