研究概要 |
両親媒性ブロック共重合体の溶液をガラス基板上にスピンコート法によって塗布し,ミクロ相分離膜あるいはミセルの自己組織化単層膜など各種薄膜を作製した。これら薄膜には,ナノメートルスケールの微細な構造パターンが自然発生的に形成されており,これをテンプレート(鋳型)としてナノ粒子を集積化する方法(指向性自己組織化法)について検討した。従来のミセルテンプレート法では,ミセル内部にナノ粒子の前駆物質を取り込ませ,テンプレートの分解除去時にナノ粒子を形成させる方法が一般的であり,粒径の小さな粒子(粒径10nm以下)しか集積化できない欠点がある。また,これを克服するために集積化後の金属ナノ粒子に無電解めっきを施す方法が開発されている。しかし,これでは煩雑な作業が新たに必要になり操作性に欠けるなどの問題を生じる。そこで,別途合成した金ナノ粒子をミセルテンプレート上に直接自己組織化し,比較的粒径の大きな金ナノ粒子(粒径10nm以上)でも迅速に集積化できる方法を開発した。本手法では,ミセルテンプレートをナノ粒子の溶液に数分間浸漬させるだけという極めて簡便な方法で金ナノ粒子の六方晶単層膜を作製できる。さらに,比色検出用金ナノ粒子の開発を通じて粒子表面に生体分子を担持させる固体化技術を開発し,この技術を使って集積化した金ナノ粒子の表面にビオチンなど生体分子を導入した。作製したビオチン修飾金ナノ粒子アレイを使って,ビオチンと特異的な結合を示すアビジンのUV-vis滴定実験を行った。アビジンを添加した際,金ナノ粒子のプラズモン共鳴バンドのバンド強度が増加する様子が観察され,アビジンを金ナノ粒子の光学的特性(局在表面プラズモン共鳴)変化通じて検出できることをつきとめた。
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