研究概要 |
これまでに高分子ミセル(PS-b-PVP,PS:ポリスチレン,PVP:ポリビニルピリジン)が,自己組織化により形成する二次元超格子構造をナノ構造テンプレートとして,これを金ナノ粒子水溶液に浸漬させるだけで,テンプレートのナノパターンに沿って金ナノ粒子を集積化する方法を開発し,そのセンサー機能についてビオチン・アビジン系を利用して評価してきた.粒子表面にリンカーとなるカルボキシル基を導入し,スクシンイミドで活性化した後,アミノ化ビオチンと反応させることで粒子表面にビオチンを固定化するなど,リガンドとなる生体分子の固定化方法を開発した.また,HEPES緩衝液中,ビオチン固定化金ナノ粒子アレイをストレプトアビジンに暴露し,金ナノ粒子の吸収スペクトル変化を観察した.アビジンの濃度が増すに従い局在表面プラズモン(LSPR)バンドの強度が増加することを見出し,スペクトル変化を通じてアビジンを検出できることがわかった.さらに,このように金ナノ粒子を規則正しく配列させたアレイセンサーでは,ランダムに配列したものと比較してシグナル強度が30~50%も向上することをつきとめた.また,集積化した金ナノ粒子に真空紫外光(λ_<max>=172nm)を短時間照射した後,粒子表面にリガンドの固定化処理を行うとビオチン-アビジン間の特異的結合が促進されるとともに,非特異的結合が抑制され,センサー機能が向上することを見出した.このように作製した金ナノ粒子アレイセンサーでは,数nMのアビジンの検出が可能であり,定性のみならず定量分析用アレイセンサーとして応用できることがわかった.
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