研究課題
本研究では、DNA自己組織化膜を対象に、in-situにて、dip-penナノリソグラフィーと組み合わせた導電性処理を施すことでナノメートルサイズの電気回路を生成させ、回路の交流特性値の変化からハイブリダイゼーションを検出する新しいチップ型遺伝子センサーの研究を行う。以下に本年度の研究成果を示す。1. 酸化還元活性DNAコンジュゲートからの修飾電極作製:溶媒可溶性のキノンポリマーから高分子被覆電極を作製し、5'-末端アミノ化オリゴヌクレオチドをグラフト結合させることでDNA修飾電極を作製した。得られた修飾電極は、キノン由来の酸化還元反応を示すとともに、ターゲットDNAを認識して結合することが分かった。興味深いことに、マトリックスであるキノンポリマーの反応特性も変化し、これを利用してターゲットDNAの検出が可能であった。2. DNAマイクロドットの走査電気化学顕微鏡イメージング・ハイブリダイゼーション検出:上記のDNA修飾電極をカーボンファイバー電極に適用し、直径33μmの微小DNAドットを作製した。走査電気化学顕微鏡(SECM)を用いた電気化学イメージングにより、DNAドットの電気化学活性の可視化、およびハイブリダイゼーションの可視化検出に成功した。本系は、電気化学DNAマイクロアレイセンサーのモデル系と位置づけることができ、今回の結果は、SECMイメージングと組み合わせたハイスループット分析の可能性を示すものである。3. 微小くし形電極と組み合わせたDNA-フェロセンコンジュゲートの電圧-電流特性の解明:線幅2μmのラインアンドスペース構造を持ったくし形電極にフェムトアンペアリソースメーターを組み合わせて電圧-電流特性を評価した。これにより、DNA自己組織化膜ベースの電気回路作製の可能性を示すことができた。
すべて 2010 2009
すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 7件) 学会発表 (7件)
Analytica Chimica Acta 658
ページ: 12-17
Bulletin of the Chemical Society of Japan 83
ページ: 273-275
Analytica Chimica Acta 639
ページ: 78-82
J.Electroanalytical Chemistry 628
ページ: 113-118
Analytical Sciences 25
ページ: 993-998
ページ: 999-1005
Chemical Communications 35
ページ: 5287-5289
九州大学中央分析センター報告 27
ページ: 17-24
Sensing in Electroanalysis Volume 4(K.Vytras, K.Kalcher, I.Svancara, Eds.)(University of Pardubice, Pardubice, Czech Republic)
ページ: 121-132