研究概要 |
水溶性ガスを対象とした超高感度なガス分析システムを構築するため,気-液を直接接触させる新規なデバイスの開発とその評価について取り組んだ。本デバイスでは捕集効率を理論的に取り扱えるので,従来のように透過膜の特性劣化を懸念する必要もなく,またガスによるキャリブレーションも不要となる。このように優れた特性を持っデバイスが達成できれば,より詳細な大気環境の解析や,生体反応によるガス放出特性の実験などに応用できる。 デバイスの設計:ガス捕集効率・捕集量のシミュレーションプログラムの確立を行った。この簡便なプログラムによって試料ガス流量に対する捕捉率の算出が簡単に行えるようになった。さらに最適なオープンチャネル構造とガス流路の形状・寸法を決定に役立つことができた。上記シミュレーションをもとに設計し,樹脂の切削によるチャネルデバイスの試作を行った。本デバイスにおける流量-捕捉率特性を計測すると,種々のガスについてシミュレーション結果をよく一致した実験結果が得られた。さらに,フォトリソグラフィーによる微細加工によってガラス基板上にチャネルデバイスを作成した。このチャネル内に吸収溶液を設けて電圧を印加し,電気浸透流を形成することができた。これにより機械的なポンプなしに吸収反応溶液を制御することが可能になった。また,ステンレス板を親水処理し,新しいチャネルデバイスの試作を行った。本デバイスでは送液・排液ポンプは必要であるが,薄い溶液層を形成しかっ流すことが可能になった。チャネル出口に光ファイバを設けて蛍光を測定することにより,硫化水素に対する応答を得ることができた。
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