研究概要 |
水溶性ガスを対象とした超高感度なガス分析システムを構築するため,気-液を直接接触させる新規なデバイスの開発とその評価について取り組んだ。本デバイスでは捕集効率を理論的に取り扱えるので,従来のように透過膜の特性劣化を懸念する必要もなく,またガスによるキャリブレーションも不要となる。このように優れた特性を持つデバイスが達成できれば,より詳細な大気環境の解析や,生体反応によるガス放出特性の実験などに応用できる。 本年度は,昨年開発したガス捕集効率・捕集量のシミュレーションプログラムを活用し,デバイスの設計や評価を行った。また,アンモニアガス分析への応用を検討し,本法を用いたアンモニア測定デバイスの開発をすすめた。まだ詰めが残っているが,基本的特性を得ることができ,室内アンモニアレベルの連続測定が可能になった。 マイクロガス分析システムの応用展開としても実環境分析とその応用による環境解析をすすめた。特に森林大気中における極微量のホルムアルデヒド濃度の追跡を行い,大気化学に関する詳細かつ重要な知見を得ることができた。また,マイクロガス分析をうまく利用すれば揮発性の水中微量物質の現場での超高感度分析が可能になる。蒸気化の基礎について理論的・実験的考察を行い,さまざまな物質の本法への適用性を議論した。その中で硫化水素に対してnMオーダーの現場分析が可能になり,有明海やロシアのバイカル湖における天然水の調査に役立てることができた。
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