研究課題
核磁気共鳴法(NMR)により、リガンドーレセプター複合体の相互作用解析のための新規測定法の開発を行った。(1)モデルシステムとして使用した複合体モデルシステムとして、卵白リゾチームーグルコースおよびヒト血清アルブミンートリプトファンを使用した。リゾチームおよびヒト血清アルブミンは、共に市販品であり入手可能である。モデル化合物として実際に使用したタンパク質関連の試料溶液は以下の3種類である。(1)50mMグルコース+0.4mMリゾチーム(10mMリン酸緩衝液pH7.5)(2)2.OmMトリプトファン+0.1mMヒト血清アルブミン(3)2.OmMトリプトファン+0.1mMヒト血清アルブミン+2.OmMグルコース(2)NMR測定法NMR測定法として、STD法およびWater-LOGSY法の2種類が、高親和性のリガンドに対しても適用可能との報告がある。本研究では水シグナル近傍のリガンドシグナル観測の観点より、STD法をベースに高感度化・高精度化を目指した。pre-saturationおよびZ-filterを繰り返して2回用いたシーケンスが水シグナルの消去に大変効果的であった。(3)リガンドシグナルの選択的検出リゾチーム+グルコース複合体においてリガンド(グルコース)シグナルの選択的検出を試みたところ、(2)で述べたpre-saturationおよびZ-filterの組み合わせにより、水シグナルの近傍にある全てのグルコースシグナルを検出できた。ヒト血清アルブミン+トリプトファン複合体にも応用したところ、巨大な水シグナルが線幅の細いシグナルとして観測され、水シグナルの近傍にあるグルコースの1位のシグナルも鮮明に観測された。この複合体においては、結合に関与しないグルコースが同一の溶液中に存在しても、リガンドであるトリプトファンの選択的検出が可能であった。
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