研究概要 |
ホルムアルデヒド(HCEO, MW30)は工業、建築や医療の分野で広く使用されているが、揮発性有機化合物であり、呼吸器系疾患を引き起こしたり、発がん性が疑われている。水道法では0.08mg/Lが指針値として定められ、2003年水質環境基準が一部改正され、ホルムアルデヒドは要監視項目とされ、河川や湖沼中の指針値は1mg/L以下に設定されている。ここではホルムアルデヒドの新しい検出反応を用いるFIAによる検出法を検討した。硫酸ヒドロキシルアミンはホルムアルデヒドと縮合反応を起こし、ホルムアルドキシムを生成する。この反応ではホルムアルデヒドの濃度に比例して硫酸ヒドロキシルアミンが定量的に減少する。反応式は以下に示す。 2HCHO+(NH_20H)_2・H_2SO_4→2H_2C=NOH+H_2SO_4+2H_2O(1) ここにFe(III)を添加すると、残った硫酸ヒドロキシルアミンはFe(III)をFe(II)に還元する。この溶液にphenが存在すると、Fe(II)-phen錯体が生成し、発色反応がおこる。この反応式を以下に示す。(NH_2OH)_2・H_2SO_4+4Fe^<3+>≒N_2O+H_2O+4H^++4Fe^<2+>+H_2SO_4 Fe^<2+>+3phen≒Fe(phen)_3^<2+> Fe(phen)_3^<2+>錯体の生成量は残った硫酸ヒドロキシルアミンの量に依存する。すなわちHCHO濃度が大きくなれば硫酸ヒドロキシルアミンが消費され、Fe(phen)_3^<2+>の生成量が減少する。この反応系をFIAシステムに導入した。検量線範囲はHCHO0.25-1.00mg/Lで、1.00mg/Lに対するRSD(n=5)は0.27%であった。試料処理速度は15/hであり、マニュアル法より、優れている。
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