研究概要 |
Simultaneous Injection/Effective Mixing Analysis System(SIEMA)はシーケンシャルインジェクション法(SI)・マルチコミューテーションフロー法(MCFA)・フローインジェクション法(FI)を融合した「新たな流れ分析法」で新規性が高い。SIは溶液の混合が不十分で感度が悪い。MCFAはソレノイドバルブで溶液流れを制御できるが、ペリスタポンプへの負荷により溶液流れに乱れが生じる。FAは溶液の送液が連続的であるので、試薬廃棄量が多いが、溶液混合は十分で、検出感度は良好である。SIEMAはシリンジポンプ・ソレノイドバルブ・ホールディングコイル・クロスコネクター・ミクシングコイル・検出器から構成される。溶液はシリンジポンプで吸引されるが、ソレノイドバルブで流れが選択的に制御される。キャリヤーでホールディングコイル内の溶液が吸引し保持するが、Triton Xと緩衝液の750μLは予め吸引する。これらの溶液はライン・検出器の洗浄のために利用される。そののち各200μL(総量800μL)が同時に吸引され、キャリヤーで押し流される。5方クロスコネクターを通して送液するが、同じ流速でなければならない。3方ソレノイドバルブの切り替えで2つ目の5方クロスコネクターで4成分が混合され、3方バルブを通過しミクシングコイルで発色する。この発色体の吸光度は625nmで測定される。この場合は4流路(TritonX-100,緩衝液、尿試料、染料)が組まれ、溶液流れ・混合はPCにより制御され、測定は自動化された。洗浄用のTriton Xと緩衝液の750μLを用いない場合はベースラインにドリフトとノイジーなシグナルが見られた。用いた染料テトラブロモフェノールブルー(TBPB)はpH3.2においてアルブミンと青色の会合体を形成した。生成された会合体はアルブミンの濃度に比例し吸光度の増大が見られた。Triton X-100が存在すると青色会合体の呈色は安定したことから、非イオン性界面活性剤を添加することとした。尿に存在する通常の無機イオン、SO42-,Na+,K+,Ca2+,Mg2+,NH4+,Cl-はアルブミンの定量には影響をあたえない。検量線は10-50μL/mLの範囲で良い直線性を示し、試料処理数は37/hであった。
|