研究課題
本研究では、"分子特異的元素を指標とする計測"を可能とすることで、対象分子そのものから得られる測定データを単純化し、タンパク質・核酸の分析の高感度、高精度及び高確度化を実現することを目的とする。平成22年度は、前年度に引き続き、キャピラリー液体クロマトグラフィーやキャピラリー電気泳動(CE)などのナノ・マイクロ分離技術と誘導結合プラズマ質量分析法(ICP-MS)を結合するための全量消費型高効率フォーカス試料導入インターフェースの開発を進めた。ネブライザー先端のテーパー部分の構造などをさらに最適化することにより、試料導入効率を高めることが可能であることがわかり、分析感度も向上させることができた。また、本インターフェースを利用してCEとICP-MSを接続した分析システムを構築し、リンを指標とする核酸の高精度定量に応用した。本インターフェースを用いることにより、ゾーン電気泳動やミセル動電クロマトグラフィーに加えて、ゲル充填キャピラリー電気泳動とICP-MSの接続も可能であった。本分析システムを用いて、DNAの分子量マーカーを測定したところ、高分子である核酸分子を分子構造を維持したまま分離し、分子量ごとにリンイオンを用いて検出・定量することに成功した。これまでに、ゲル電気泳動とICP-MSによるDNA分析は報告されているが、キャピラリー電気泳動で実現した例は無く、新規手法として国際学会で報告し、注目を集めた。
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Journal of Analytical Atomic Spectrometry
巻: Vol.26(3) ページ: 623-630
DOI:10.1039/C0JA00128G
JOURNAL OF CHROMATOGRAPHY A
巻: 1217(50) ページ: 7921-7925