研究課題/領域番号 |
21550095
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研究機関 | 独立行政法人産業技術総合研究所 |
研究代表者 |
成川 知弘 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 主任研究員 (10265473)
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研究分担者 |
黒岩 貴芳 独立行政法人産業技術総合研究所, 計測標準研究部門, 研究室付 (60356946)
千葉 光一 独立行政法人産業技術総合研究所, 計量標準管理センター, センター長 (20281066)
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キーワード | 無機分析 / ICP-MS / スペクトル分析 / 微量分析 / 同位体希釈質量分析 / スペシエーション / LC-ICPOES/MS |
研究概要 |
微量元素分析において現在最も有用とされるICPプラズマ分析において、化学形態に依存する分析挙動の検討、その機構の解明および環境実試料への適用を行った。具体的には、これまでひ素およびその化合物の化学形態依存性について検討し、干渉機構の解明を行った。しかし、環境試料中には、ひ素と同様に異なる酸化数で存在する可能性があるクロムやアンチモン、有機金属化合物で存在するセレンなどもある。しかし、これらの元素はこれまで化学形態に依存する分析挙動の違いや分析感度差が有るか否かなどの検討はされていない。そこで、本年度は主にセレンについて、分析の際の化学形態依存性を検討した。無機化合物のセレンは環境中において酸化数が4価および6価で存在する。そこで、酸化数が異なるセレン化合物の溶液の調製を行い、さらに存在する化学形態の確認と不純物化合物の測定を高速液体クロマトグラフィー-ICP質量分析法によって行った。また、濃縮同位体を用いた同位体希釈分析法によって調製した溶液中の各セレン濃度を厳密に決定した。これらの溶液をICP質量分析法、ICP発光分光分析法などを用い、かつ様々な分析条件下で分析し、得られたシグナル強度などの挙動から酸化数に依存する分析感度を検討した。その結果、セレンに関してはひ素分析において認められた酸化数に依存する分析感度差はないと結論付けられた。さらに、環境中で3価および6価の酸化数を取るクロムに付いても詳細な検討を進めているが、クロムについても酸化数に依存する分析感度差は認められないと思われる。これらの挙動の違いと機構解明は、基礎化学および理論化学の礎と発展につながるため、論理的視点から機構解明に取り組んでいるが、現在やっとその糸口を見つけたところである。
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