研究課題
22年度はベンゾキノリン類についてカチオン-π相互作用による配向性制御を検討し、[4+4]光二量化反応における溶液中および結晶場での反応を検討し、立体選択性を明らかにした。さらに、溶液および結晶場における選択性の比較も行った。ベンゾキノリン類の[4+4]光二量化反応は、複数の生成物を与える可能性があり、これまで検討されていなかった。我々は、分子間カチオン-π相互作用を利用することで、位置ならびに立体選択的二量化を達成できるものと考え、メタノール溶液中、中性条件および酸存在下において1-、および2-ベンゾキノリン類光照射を行った結果、中性条件下では、複数の生成物が得られたのに対し、塩酸存在下では、高い選択性でantiHT二量体を与えることを見出した。生成物の構造はX線結晶解析により明らかにした。また、酸の当量により選択性は変化し、3当量の塩酸を用いたときに最も高い選択性が得られた。さらに結晶の光反応を行った結果、中性結晶では生成物が得られないのに対し、塩酸塩結晶では、極めて高い選択性でantiHT二量体が得られた。これらの結果は、ベンゾキノリン塩酸塩が分子間カチオン-π相互作用によりantiHT型に配向し、光二量化が進行した結果であると説明でき、分子間カチオン-π相互作用の分子配列制御における有用性を明らかにした。
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