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23年度はスチリルピリジン類についてカチオン-π相互作用による結晶場における配向性制御を検討し、[2+2]光二量化反応における立体選択性を明らかにした。
基質および基質塩酸塩結晶の固相光反応を行い選択性の比較を行った。スチリルピリジン類の[2+2]光二量化反応を行ったところ反応は全く進行しなかった。X線結晶解析の結果、スチリルピリジンはヘリンボーン型配列を取り、二重結合間距離はSchmidt則を満たさず、光反応が起こるには遠すぎることが明らかとなった。分子間カチオン-π相互作用を利用することで、位置ならびに立体選択的二量化を達成できるものと考え、スチリルピリジン塩酸塩を作成し光照射を行ったところ、高い選択性でsynHT二量体を与えることを見出した。スチリルピリジン塩酸塩の結晶構造をX線結晶解析により明らかにしところ、塩酸塩はhead-to-tail型配列を取り、カラム構造を有することが明らかになった。面間隔は約3.8Åであり十分に反応が起こる距離であった。このような結晶の構造特性は、分子間カチオン-π相互作用によるためであると考えられる。興味深いことに、本結晶は2分子の水を含むが、脱水和物結晶では光二量化反応が起こらなかった。これは、水分子と塩化物イオンの水素結合ネットワークが基質分子のhead-to-tail配列をアシストしているためであると考えられる。同様な結果はナフチルビニルピリジンについても見られた。
これらのことから、分子間カチオン-π相互作用のスチリルピリジン類塩酸塩の分子配列制御における有用性が明らかになった。さらに結晶水の役割も明らかになった。
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