研究概要 |
我々は、これまでにPd(II)触媒を用いるカスケード型連続環化反応によるスピロケタール合成法の開発を行って来た。今回、この合成法を発展させジヒドロキシケトンを用いた遠隔立体化学制御を含む多不斉中心の一段階制御法を開発した。また近年、スピロケタール構造を有する化合物が数多く単離構造決定され、その中には有用な生理活性を有するものも数多く存在し、その特異な構造から絶好の合成ターゲットとなっている。今回、スピロケタール構造を有する、スピロファンジンA、ビストラミドA、パプラカンジン類縁体の合成研究を行った。 また、これらの反応の基礎となるPd(II)触媒を用いた環化反応における立体選択性について詳細に検討を行った。 1.スピロフマンジンの合戌 5つの不斉中心を含むスピロケタール部の立体選択的合成に成功した。更に、WHE反応を用いて左側鎖部の導入にも成功した。 2,ビストラミドAの合成 前年度合成したスピロケタール部への左側鎖部の導入を検討した。ビニルエポキシド、及びアリルベンゾエートを用いたアリル化反応を検討し立体選択的にアルキル基を導入することに成功した。 3,パプラカンジン類縁体の合成 これまでに開発したD-リボース合成法を応用しスピロ-C-アリールグリコリポシドの新規骨格構築法について検討し、パプラカンジン類縁体の合成に成功し、構造決定を行った。また、D-リボースや2-デオキシーD-リボースの合成にも成功した。
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