研究概要 |
モノオール、あるいはシアノヒドリン等の官能基化されたアルコールの不斉アシル化による速度論的光学分割について検討した。アミノホスフィニトよりアミノホスフィンの触媒活性が高いことを考慮し、プロリン、バリン等の種々のアミノ酸より誘導したキラルアミノホスフィンを触媒とする光学分割を実施した。その結果、1mol%の触媒量でも反応は進行し、フェニルアラニンより誘導したアミノホスフィンを触媒とするシクロヘキシルベンジルアルコールのベンゾイル化反応において、目的とするベンゾエートが36%収率、68%eeで得られた。更に、アミノインダノールより誘導したホスフィニトを触媒とする同様な反応についても検討した。その結果、10mol%の触媒量を要するが、47%収率、84%ee(s=25)でベンゾエートを与え、より立体選択的な反応が進行することを見出した。アミノインダノールのホスフィニト誘導体は、特に立体的に大きな置換基を2つ有する2級アルコールの光学分割触媒として有効であり、シクロヘプチルベンジルアルコール、シクロヘキシルナフチルメタノールの反応においてもs値20以上で光学分割を達成した。一方、シアノヒドリンの光学分割においても同様な検討を行ったところ、フェニルアラニンのアミノホスフィン誘導体が最も良好な結果を与え、3mol%の触媒存在下、シクロヘキサンカルボアルデヒドのシアノヒドリンの不斉ベンゾイル化反応において,8値7.6で光学分割が達成されることを見出した。
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