研究課題/領域番号 |
21550110
|
研究機関 | 北見工業大学 |
研究代表者 |
服部 和幸 北見工業大学, 工学部, 准教授 (20333669)
|
キーワード | 無水糖 / 環化 / セロビオース / 多糖 / 二糖 |
研究概要 |
セロビオースの1位と4'位の2つの水酸基間で分子内脱水を起こさせ、2つのグノコース残基間にまたがった無水環を持つ環状二糖の合成を以下のように行った。セロビオースを出発物とし、1位と4'位のみが水酸基で他の水酸基をベンジル基で保護した鍵中間体を、既存の反応を組み合わせ8段階の工程を経て収率よく合成した。これをトルエンに溶解し、高度に希薄な溶液中で10-カンファースルホン酸を触媒に使用して1位と4'位の水酸基間で脱水を試みた。希薄な溶液としたのは、分子間での脱水を防ぐためである。予想した通り目的物の収率は低く、酸濃度や温度を高くするなど条件を強くすると、複数の生成物が認められた。反応の性格上、規模を大きくすることは困難なため、少量で繰り返し反応を行い生成物の収量を確保し、HPLCによる精製を行って目的物を得た。低収率を改善するために、1位の水酸基をトリクロロアセトイミデート化し、4'位の水酸基と分子内グリコシル化反応を試みており、脱離基の必要性が今後の課題となった。 得られたベンジル化1,4-無水セロビオースを、塩化メチレン中、窒素雰囲気下で多糖へと導いた。-60℃で8時間撹拝したが、予想した高分子量物は得られなかった。これは、環状二糖の純度が低いことが考えられた。また、より精密に反応を行うため、高真空下での条件も必要と思われた。 本研究成果は、2011年5月に開催された第26回オホーツク木のフェスティバルで発表した。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
多糖合成の鍵となる環状無水糖の合成が、当初予想したよりも困難である。特に環化の工程の収率が低く、既知の方法が適用できなかったことによる。
|
今後の研究の推進方策 |
(1→4)-β型多糖合成のシントンである環状二糖を高純度で合成し、多糖へと導く。この環状二糖は結晶性ではなかったため、今のところHPLCなどのクロマトによる精製しか方法がない。今後、繰り返し精製することにより、純度の向上を試みる。また、これまで行ってきた環化法は低収率であるので、脱離基を導入して定収率の問題解決を図る。
|